登山中の足の痙攣について
あまり休憩も取らずに、ついつい先を進んでしまいがちになるソロ登山。
適度に休憩を取らないままに登山を続けると、足が痙攣を起こしやすくなります。
ふくらはぎの筋痙攣の総称である「こむら返り」が起こると、立っていられないほどの激痛に見舞われます。
ふくらはぎの痙攣は、ソロ登山であろうと複数人での登山であろうと誰にでも起こり得ますが、休憩が少なくなりがちのソロ登山の場合に起こる頻度が高くなります。
一人ぼっちであまりの激痛に耐えていると、一気に心細くなってしまう人は少なくありません。
このままもしも痙攣と激痛が治まらなければ、誰にも助けを求められないまま、ここで夜を迎えてしまうのではないか…などと急に怖くなるものです。
そう考えてみると、やはりソロ登山は心理的なリスクが高いと言えます。
山登りで足がつってしまった場合の対処法
一番大切なのは、こむら返りを起こさないようにすることです。
登山中、足に疲労が溜まると、だんだんと筋肉が硬くなって冷えていきます。
そうなると、こむら返りが起こる前にまずはピクピクと筋肉が小さな痙攣を始めます。
その小さな痙攣を感じたら、無理をせず、重い荷物を降ろしてゆっくりと長めの休憩をとりましょう。
そして、足の筋肉をほぐすようにマッサージをし、食事や水分を補給しましょう。
その際、水を飲むよりは、塩分を含んでいるスポーツドリンクを飲む方が効果的です。
もしも小さな痙攣を見逃してしまい、こむら返りを起こしてしまった場合は、すぐにその場で横になるなどし、少しでも痛みが和らぐ体勢になりましょう。
既にこむら返りが起こってしまった場合は、慌ててマッサージをしても逆効果となります。
筋肉をほぐすのは、痛みがある程度治まってからにしましょう。
筋肉が冷えてしまっているので、タオルや上着を足にかけ、まずは足の筋肉を温めます。
インスタントカイロやヒルドイド軟膏を常に持っていると、こういうときに安心ですね。
疲労が蓄積したことで、血行が悪くなって凝り固まってしまった筋肉を、急いで柔らかく解してあげることが早い回復に繋がります。
また、足がつってしまう原因としては、疲労は勿論ですが、ビタミンB1や塩分、カルシウムといった栄養素の不足も可能性としてあります。
普段から野菜不足にならないよう、栄養バランスの良い食事をとるようにしましょう。
もしもこむら返りが起こってしまったら、すぐに計画を変更し、その日は無理のないようにしましょう。
そして普段の生活の中で対策をし、改めてリベンジするのが得策です。
登山中に足を捻挫したり、骨折してしまったら
ソロ登山者の遭難原因の第一位が、転落や滑落によるものです。
うっかり浮き石を踏んでしまったり、岩が崩れてきたりとどうにもならない場合もありますが、実はその多くは自分の不注意が原因となります。
登山開始まもなくは気を張っていても、長く歩いているうちに緊張感がなくなり、気が緩んでしまったときが危険です。
また、危険な場所を通るとき、その間は警戒し慎重にゆっくりと歩きますが、無事に危険を回避できてほっと気を緩めた瞬間がとても危険なのです。
もしも事故に遭ったり、怪我をしてしまったら、まずはできるだけ素早く冷静になり、自分の今の状況を正確に把握することです。
慌てて取り乱してしまうのが普通ですが、ここで落ち着けるかどうかが無事に帰ることができるかどうかの分かれ目となります。
焦っているときは、自分の本来の力の半分も発揮することができません。
そして悲しんでいても誰も助けてくれません。
気分を切り替え、今どうするべきか素早く判断しましょう。
まずはじっくりと周りを見渡し、二次災害の危険はないかを確認します。
慌てて立ち上がってしまうと、更に転落や滑落する危険性があるからです。
転落や滑落をしてしまうと、軽い怪我で済むことはほとんどありません。
多くの場合、捻挫や骨折は免れないと考えましょう。
捻挫でも骨折でも強烈な痛みが襲ってきますが、捻挫か骨折かを見分けるには、患部が腫れるまでの時間で判断しましょう。
捻挫の場合は腫れるまで時聞がかかりますが、骨折の場合はすぐに腫れてきます。
これだけでも知っておくと、その後の対応が変わってきます。
起き上がれそうであれば、ゆっくりとでも起き上がり、次の行動を起こします。
次の行動とは、応急処置を行うこと、または救助を呼ぶことです。
応急処置をする場合は、まず何よりも患部を冷やすことが第一です。
近くに水場があれば水で冷やし、雪があれば雪で冷やします。
持参した水しかない場合は、タオルを水で濡らして患部に当てます。
ある程度冷やしたら、次に添え木を当てたり、テーピングをします。
救助を呼ぶには、携帯の電波がある場所であれば携帯で119番に電話をして救助を呼びます。
できれば自宅にも連絡をしておきましょう。
怪我や事故に遭い、軽くパニックを起こしているときは、家族の声を聞くと落ち着ける場合があるからです。
またこういった緊急時に携帯がバッテリー切れで使えないということにならないよう、使用しないときは電源を切っておきましょう。
電波やバッテリーがなく携帯が使えない場合でも、大声で叫んで助けを呼ぶのはできる限り避けましょう。
大声で叫ぶという行為は、思った以上に体力を消耗するためです。
携帯が使えない場合は、雪山で活躍するビーコンや、LEDライトなどを使用して救助を求めます。
しかし救助を求めたからと言って、すぐに助け出される可能性は低いと考えておきましょう。
山まで救助に来てもらうには、1~2日程度は覚悟しておくべきです。
途中で気持ちがくじけてしまうと生還率が下がります。
絶対に無事に帰ってやるんだ!という強い気持ちを保てるようにしてください。